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tekara people 0002-カンタ刺繍研究家 望月真理さん

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世界の手仕事熱中人を追いかけるtekara people 第二弾は、刺繍に魅せられ半世紀を超えたカンタ※刺繍の研究家 望月真理さんです。

まもなく、これまでのコレクションとご自身の作品を展示するイベントを開催されるとの情報が入りましたので、展示作業中のところにお邪魔しまして、ごく手短にお話を伺って来ました。

これまで、手仕事系のイベントで何度もご一緒させていただきましたが、刺繍との出会いについて伺うのは初。今回の展示会の紹介と合わせ、是非、ご一読を。

(※注釈:カンタ刺繍とは、インドのコルカタからバングラデシュにおける刺繍で、古布を再生するための技法が発端。着古した木綿のサリーや腰布を重ねあわせ、これまた古いサリーの刺繍糸をリユースして刺した刺し子。古くは白い木綿を使っていましたが、昨今は、シルクを用いることが多いようです。)

「畳半畳 私の城」 そして、続けさえすれば・・・・

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そもそものスタートは、昭和31年に娘が生まれたのがきっかけでした。以前から洋裁をしていたのですが、そうそう子供服ばかり作っていられない。洋裁プラスアルファで何かできないか?と考えていたところに、ふと「刺繍はどうかしら?」と思ったのがきっかけでした。

でも、小さな子供を連れて、教室に通うのは無理、そこで、わざわざ刺繍の先生を東京から静岡の住まいに招いて習い始めました。
仲間を集め、楽しく針仕事を楽しみましたが、当時の仲間はみーんなやめてしまい、今も続けているのは私一人。

30歳の頃からはじめて、気づけば今年で56年続けていることになります。色々な刺繍、特にカンタ刺繍などをずぅっと続けていますが、なにより続けることが大切だと思っています。

ただ、大好きな針仕事は続けたいが、当時は、育児の真っ最中でしたから、続けるのも容易ではありませんでした。

小さな子供が近くにいては仕事はできぬ。うっかり針を刺したり、飲み込みこみはしないかと、心配でした。そこで、閃いたのが、ベビーサークル。さっそく用意したものの、効果ゼロ。子供はちぃっともおとなしくしてくれない。

しかたなく、私が、窮屈なベビーサークルの中に入って、刺繍を続けることにした。
大きさにしてせいぜい1m四方。つまり「畳半畳が私の城」だった。

「いいものは一日でも早く」

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1972年にアジア、バリ島などを旅し、その後、インドにはじめて渡ったのは、1978年のこと。
カルカッタの国立博物館(美術館)の天井の近くの隅っこに置かれていたカンタという刺繍布になんとも言えぬ衝撃を受けた。
「あの縮んだ布になぜ、どうやって刺繍をしたのか?」 それをどうしても知りたくなった。

だが、館内では写真も撮っちゃぁダメ、写真集はおろか絵葉書すら売っていない。教室もないし、先生もいない。残る手段は、美術館なんかを巡ってはできる限り記憶すること。そして、古いものを買っては、自分で研究することの二つ。それからは、何度も、現地を訪ねて、技法の解明を進めていきました。

コレクションと藍染めの生地を用いた韓国のポジャギ(作品)
コレクションと藍染めの生地を用いた韓国のポジャギ(作品)

家事育児をしながら、度々のインド行きは難しいと思っていたが、主人に思い切って、話してみたところ、

なんとも思いがけない言葉が帰ってきました。
「いいものは一日でも早く見なさい。齢をとってからでは遅すぎる。」と。今思えば、とても幸せなことでした。
それからは、不在にする間の家族の食事を全部作っては、何度も出かけることに・・・

その後、仲間も誘って、インドをはじめとして、アジアを色々と巡った。そして、研究用の資料として古い刺繍を集め、様々なコレクションを記憶に焼き付けてきました。

 

自由なカンタ

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カンタはその自由さが最高。そしてお年を召した方でもできるのが魅力。
日本人は優等生だから、なんでもお利口にそしてきっちりやろうとするけれど、もっと自由にやったらいい。
嫁さんの悪口言ってる暇があったら、みんなで集まってぺちゃくちゃおしゃべりしながら、手を動かしたらいいとも思います。

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例えば、この作品は、私の孫が描いた絵を、古い泥大島に刺したものですが、こどもの自由さがよく現れているし、思い出にもなる。パパやママを描いたものなどは、それこそ、3世代の合作みたいなものだと思います。

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また、この作品のように、スケッチのように、旅の記憶や風景を刺してみるのもたのしい。一枚の布に物語が宿るように思います。

現在そしてこれから

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いわきでは20年以上に渡り、カンタをはじめて様々な刺繍を指導しています。震災で刺繍糸がめちゃくちゃになったが、なんとか片づけなおして、今も教室を続けています。 これからいわきは寒さが厳しくなりますから、冬本番になったら、しばらくこっち(川崎市)に居て、カンタの寺子屋なんかをやってみたいなぁと思っています。それこそ、皆さんとおしゃべりしながら、お茶を飲み、そして大好きな刺繍をやっていきたいと思っています。

(テカラノホソク:この後、しばし寺子屋構想について、談義。今後、望月さんを囲んで刺繍をする会?みたいなものを企画することになりました。詳しくは、決まり次第発表します。)

あわせて読みたいおすすめブログ記事

2007年~2012年にかけて行われた「美しい世界の手仕事プロジェクト」ブログアーカイブよりご紹介しています。

そんな望月さんの作品、コレクションを観たい方は

関東最大級の住宅展示場 ハウスクエア横浜 住まいの情報館1階において個展

”刺繍工芸作家、望月 真理 コレクション+作品展 ~アジアの山岳民族の衣装&刺繍布 ~”が開催されます。

刺繍工芸作家の望月真理さんが40年にわたり、自ら歩いて集めたコレクション約70点とご自身の作品30点を一同に展示します。
コレクションはインドシナ半島の山岳地方に住む、ザオ族、ロロ族、アカ族、イ族の刺繍衣装と織り、またインドの刺繍など貴重なものばかりです。作品については販売も。
期間中は望月真理さんによる刺繍作品製作の実演も行います。

10月25日(木)~28日(日)11:00~16:00 入場無料

また、望月さんの娘さんでガーデンデザイナー麻生恵さんのレクチャーも期間中に開催されるとのことです。

第9回イギリスの庭に学ぶガーデンデザイン&イギリスの庭巡り
2012年10月26日(金)10:30~、27日(土)13:30~
*所要時間1時間30分
定員:各日50名様
講師:麻生恵(ガーデンデザイナー)

http://www.housquare.co.jp/whatsnew/event.php?ID=1089

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